筋肉・脂肪・骨・水分など、身体を構成する組成分を体組成といいます。近年、市販の体組成計にもたくさんの測定項目があり、各項目を詳しく知ることができます。今回はその構成体の中から、脂肪量と除脂肪量に焦点を当てて考えていきます。
目次
1. 脂肪量と除脂肪量
身体組成の評価は脂肪量と除脂肪量に分けて行うことが一般的です。脂肪量は体重と体脂肪率から計算することができ、体重から脂肪量を引いた値が除脂肪量となります。
「体重×体脂肪率=脂肪量」 「体重-脂肪量=除脂肪重」
そして、この指標を相対的に評価することの重要性が報告されており、勝亦らはこの脂肪量・除脂肪量を身長(m)の二乗で除すことで算出される値を脂肪量指数(FMI)・除脂肪量指数(FFMI)と定義し、競技種目ごとの差を明らかにしています(勝亦陽一ら,日本人男性一流競技者における除脂肪量指数(FFMI)および脂肪量指数(FMI)の競技種目差.トレーニング科学,Vol.29, No.4, 317-327,2018)。
今回はそのFMI、FFMIから目標体重の設定について解説していきます。
2. 夏の甲子園出場校の特徴
まず、昨夏の第100回全国高校野球選手権記念大会に出場した各校の平均身長、平均体重から体脂肪率を15%に設定した場合のFMI,FFMIを算出し、その全校の平均値およびFFMIのTOP3の学校における平均値を示します。
この全校平均から身長170cmの選手を仮定すると、その選手の目標値は脂肪量10.4kg、除脂肪量58.7kg、体重69.1kgという目標値が算出されます。
現場では目標体重を身長-100に設定するという話もありますが、今回の計算からしても指導者の感覚的な表現はある程度一致しています。非常に面白い結果ですよね。
スポーツ科学はスポーツ現場での感覚的な表現に根拠を持たせるために重要なポイントではありますが、このような結果からも、どちらの意見も大切にする必要があることが分かります。
除脂肪体重はスイングスピードにも関連するため、野球選手にとって重要なチェック項目であることは間違いないのではないでしょうか。皆さんも一度選手の体組成に着目した目標設定をしてみてください。
3. 各選手の特性を踏まえた目標設定
今回の結果はあくまで平均値から算出したものです。
そのため、打線の主軸を担う選手なのか?足を使うことが特徴的な選手なのか?によって目標値は異なりますが、一つの指標として用いることが出来ます。
また、増量にはトレーニングのみならず食育も必要になります。各専門家が力を合わせて選手を育成することで、壁にぶつかっている選手を救うことが出来ると思います。是非ご参考にしてみてください!
4. さいごに
今後はこの値を正確な測定方法を用いて明確に提示していく必要がありますね。全国の高校野球選手における平均値はどの程度か、競技レベルによる違いはどの程度か…。
スポ.ラボ発信で、ビッグデータ収集する日も来るかもしれません。Coming Soon…!!!