戦略的リカバリーを実践していくためには、前に紹介したように各疲労状態に応じたリカバリーの実践が必要になります。
その一つとして絶対的に必要なものが「エネルギー補給」になります。
エネルギー不足を車で例えると、ガソリンが枯渇してしまった状態です。
すなわち、いくらドライバーが元気(脳が元気)でエンジンやタイヤも最適な状態(体力が良い状態)だとしてもガソリンがなければ動きません。
エネルギーの主要になるものは糖質であり、炭水化物から食物繊維を除いたものがいわゆる糖質です。
糖質は血糖値を一定に保つために必要不可欠なものです。
この糖質が体内でブドウ糖などの糖類に分解され、その後使用されないブドウ糖はグリコーゲンとして筋や肝臓に蓄積されます。
実はこのグリコーゲンが重要であり、グリコーゲンの枯渇が仕事効率の低下、集中力の低下、自覚的な疲労感の増大に強く影響します。
特に野球の練習は1日中行われ、試合も3時間を要することもあるため、エネルギー不足からの疲労を招きます。
このような状況にならないためにも糖質の摂取が疲労回復(リカバリー)として必要不可欠なのです。
この裏付けとなる代表的な研究があります。
図Aを見ると、糖質摂取が総エネルギー量の60%以上の場合に比べ40%以下だった場合は、3日間の連続した運動後の筋グリコーゲン量が明らかに低下していると分かります。
つまり、糖質摂取量が少ないと筋グリコーゲンとして蓄えられる量が少なくなり、先ほど述べたように自覚的疲労感が強くなるのです。