我々は2010年から中学野球選手(部活動に所属する軟式野球選手)のメディカルチェックを行い、272名の選手の投球障害発生に関する前向き検討を行いました。
その結果から得られた投球障害に関与するフィジカルチェックの項目とその対処法をご紹介します。
目次
1. 肩痛・肘痛の既往
この特徴はその他の年代における特徴とも一致しており、どの年代の選手であっても、一度投球障害を発症した選手はその発症を繰り返す傾向にあることが分かります。
その理由は投球障害を発症する原因が大きく次のポイントに集約されるからです。
Ⅰ.オーバーユース(外的要因)
Ⅱ.肩関節・肘関節のコンディション不良
Ⅲ.投球動作不良
これらの何れかの問題を解決できずに野球を続けると、投球障害を繰り返す傾向にあると考えられるため、根本的な問題を解決できるようにしていきましょう。
2. 投手・捕手
これもどの年代にも共通する項目です。やはり、投球数が多いことや投球強度が高いことがその要因になります。バッテリーは試合を作る要になるため、日々のケアを欠かさずに行いましょう。
3. 肘が伸びきらない/バンザイが出来ない
このような、簡単にチェックできる項目も投球障害に関連しています。
まず、座った状態で肘をまっすぐ伸ばしてみてください。その際に、肘が伸びきらない状態になっていませんか?その要因は様々ですが、その状態で投球を続けると、肩や肘に痛みが出る確率が上がります。
また、バンザイは出来ますか?これも簡単に出来るチェック方法なので、日々の状態チェックのポイントとしてみてください。
4. 太ももの前の柔軟性
次はうつ伏せになった状態で、踵とお尻の距離が5cm以上か否かをチェックします。
太ももの前の柔軟性が低下している選手は投球動作の乱れに繋がることが多いです。この項目も様々な年代の予測システムにも登場するチェック項目なので、下半身の柔軟性は投球障害に関連があることが疑われます。
5. しゃがみ込みと片足立ち
最後はしゃがみ込みと片足立ちです。
まず、しゃがみ込みは左右の足を付けた状態で、踵を浮かさないようにしゃがんでみてください。この時にふらつきや踵が浮いてしまうことがなければ、合格です。
また、目を閉じて片足立ちをしてみましょう。この時に20秒以上姿勢を保持することが出来れば合格です。
どちらも、投球動作に重要な軸足の安定性に関与するポイントになります。投球動作はまずは下半身が重要だ!ということは昔から言われていることだと思いますが、実際のデータからもその実態が明らかになっています。やはり、現場の皆さんの「感覚」はスポーツ科学とリンクする部分は多いですね。
6. まとめ
以上が中学野球選手の投球障害を予測するチェック項目です。簡単にチェックできる項目が多いので、チームの底力を上げるために、是非取り入れてください!